【アーカイブ版】セイヨウ情勢 : 市民参加による外来種(セイヨウオオマルハナバチ)モニタリングと対策のためのリアルタイム情報共有サイト

- 最終更新日: 2015年12月28日
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【過去の情報】働きバチ出現!春の対策シーズン後半です

発信日:2007年05月29日
発信者:菊池 玲奈
皆さんお元気でお過ごしですか? 農家のみなさんは、田植えや畑作業
など、お忙しい季節だと思います。
前回の【マルハナ通信】から、あまり日が経っていませんが、この時期は
お知らせしたいことが盛りだくさん!頻繁のお便り、申し訳ありませんが、
お付き合い下さい。
 
★ 働きバチの飛来が見られるようになりました ~春のシーズン後半突入です!~ ★
 
ここ数日、各地から働きバチ飛来の報告が届き始めました!
 
~旭川市 I さん・5月24日~
本日、初の働きバチを確認。次のステージに進んできているようです。
 
~恵庭市 I さん・5月26日~
5月26日、働きバチ初確認。5月27日、エゾオオマルの働きバチを初確認です。
 
~七飯町 Kさん・5月28日~
確認したハチは11頭で、うち2頭はエゾオマルハナバチ(もちろんとりません)
2頭は働きバチ、残り7頭は女王バチ。
 
みなさん、熱心な活動とご報告、本当にありがとうございます。
 
シーズン最初の働きバチは、ハエと見間違えるくらい小さい場合があります。
働きバチの大きさは、幼虫の時に食べることのできたエサ(=花粉と蜜を練り
あわせたもの)の量によって決まります。たくさん食べられれば、大きな働きバチ。
あまり食べられなければ、小さな働きバチになります。
最初に生まれる働きバチたちは、営巣に成功した女王バチが1頭で集めた
花粉と蜜しかエサがないので、体が小さいのです。
女王バチが最初に産む卵の数は、数10程度。
働きバチがたくさん生産されるようになってからの捕獲は、あまり巣にダメージを
与えることは出来ませんが、この時期の働きバチの捕獲は、とても効果的です
(営巣をはじめた女王バチを兵糧攻めにすることができますので)。
ちょっとかわいそうに感じるかもしれませんが、ぜひ、この時期の働きバチはしっかり
捕獲をお願いします。
 
また、そろそろ女王バチのシーズンも終わりに差し掛かりますので、もしお手元に
標本や調査用紙がたまっているようでしたら、研究室にお送り下さい。
よろしくお願いいたします。
 
★ 捕獲の効果?モニターさんたちからの報告 ★
 
一昨年から捕獲を続けてくださっている恵庭市と雨竜町のモニターさんからそれぞれ
こんなメールが届きました。
 
~恵庭市・Iさん~
毎日、みんなでハチの話をしていますが、共通しているのが在来が多いということ。
5月11日からはセイヨウよりも在来の方が多いです。
本当にどこへ行っても在来種をたくさん見ますよ(5月27日のメールより)
 
~雨竜町・Sさん~
春から初夏の季節となりレンゲツツジ類やチューリップ、芝桜などが咲き誇って
いますがセイヨウは何処へ行ったのやら。我が庭のツツジ類にも単発的な訪花です。
雨竜神社はエゾエンゴサクの終わりとともにピタッと飛来せず、しかし今年の神社の
終盤はセイヨウ数頭に対してエゾは50頭を超え、エゾ一杯、時々セイヨウで、エゾが
邪魔くさいぐらい訪花していました。全く昨年と逆の現象です(5月28日のメールより)
 
これが即「捕獲の効果!」ということは難しいかもしれませんが、数年にわたって
春の女王バチをしっかりとってくださっている地域からこういう報告が届くのは、やっぱり
とても嬉しいです!恵庭も、雨竜町も、昨年までは圧倒的にセイヨウが多い印象だった
地域です。
ただ一方で・・・
 
~旭川市・Iさん~
19日、羽衣公園(註:先日一斉捕獲の行事を行った東川町の公園です)で捕獲活動、
100頭を超えていました。ほかのモニターの方も捕獲しているのでしょうから、昨年より
数倍殖えているのではないかな!(5月20日のメールより)
 
という声も届いています。単純計算では、1つの巣から100頭を超える女王バチが生まれ、
翌年の春に営巣するわけですので(すべてのハチが越冬に成功するわけではないですが)、
その殖え方を思うと、ぞっとします。とにかく1年でも早く対策を始めることが重要です・・・。
皆さんの地域では、昨年と比べてどのような印象をお持ちですか?
 
東川町の羽衣公園では、今年の春、おそらくすでに1,000頭を超える女王バチが集中的に
捕獲されています。今後、この地域でどのくらい働きバチがみられるか、飛来が減るのか
どうかが春の捕獲の効果の目安といえるかもしれません。ぜひ、報告をお寄せ下さい。
 
★ これは便利!捕獲の工夫など ★
 
旭川市のHさんから、最近バルサンから発売された「飛ぶ虫氷殺ジェット」をつかった
捕獲のレポートが届きました。企業の宣伝みたいですが(すみません・・・)、殺虫成分を一切
使わず、-40度の瞬間冷却で虫を殺す、とのことでしたので、私たちの研究室でも
「あれはどうなんだろう?」と盛り上がっていました。
以下、Hさんからのメールです。どうやら、とても使い勝手が良い模様です。
(ちなみにHさんは、もちろんバルサンの社員さんではないですよ・笑)
 
「氷殺ジェット見つけました。なかなか良いです。
網で捕獲して、シュッと噴きかけるとすぐ死にます。とっても便利です。
627円でした。氷殺ジェット、網で捕獲した場合でもとっても便利です。瞬時に
死にますし、ビンを入れたりする手間がかからないし、刺される心配もありません。
何より、においや、殺虫成分がないのが安心です。
手に薬がつく心配もないし。これなら取ったはしから、紙袋や、ビニール袋に入れて
いけるし。暑いときはすぐ解凍されるでしょうが、どうやら、金魚と違って解凍しても生き
返らないようでした。メーカーの宣伝になるかもしれないですが、こういうものがあることを
知らない方とも多いでしょうから、できたら皆さんに教えてあげてください。捕獲し郵送
する行為が楽になると思います。」
 
ちなみに、ペットボトルを使ったこんな捕獲道具の写真も送ってくださいました。
ペットボトルを切ってはめこんだだけのもので、訪花中や巣探し中のハチにかぶせると
上にあがる仕組みです。
 
 
また、同じく旭川市にお住まいのTさんからは、「こんなものを見つけた」というお話も
ありました。セイヨウに使えるか、試すだけ試してみたい、とのことでしたが、その後
いかがでしたか?
 
 
ほかにもみなさん、いろいろと工夫をしてくださっているようです。ぜひ「これぞ!」と思う
道具や方法を見つけられた方、お知らせくださいませ。
 
★ おまけの写真 ★
 
蘭越町にお住まいの方が送ってくださいました。
在来種のエゾナガマルハナバチです。色のパターンがちょっとセイヨウに似ているため
どきっとすることがありますが、セイヨウに比べると色が全体的にぼんやりしています。
また、その名の通りマルハナバチ類でもっとも顔の長い種類です(セイヨウは短い)
足元にびっしりついているのは、「ダニ」です。
 
下川町の五味温泉付近で撮影されたとのこと。
私たちはなかなかうまくマルハナバチの写真が撮れないのですが、皆さんのおかげで
ずいぶん写真も充実してきました。ありがとうございます。
 
それではみなさま、お忙しいかと思いますが、今後とも引き続き、監視活動のほど
よろしくお願いいたします!何かご質問などありましたら、いつでもご連絡下さい。
 
今週末は、恵庭で株式会社アレフ(びっくりドンキーを経営している外食産業)が
企画したセイヨウオオマルハナバチの捕獲活動にお邪魔してきます。
何人かのモニターさんにはお会いできそうで、とても楽しみです!